ドライバーモニター 自動運転の過渡期だからこそ重要な技術

ドライバーモニタリングシステム概念図

自動運転は、現在とてもホットな話題です。

昨年には、量産車初のレベル3自動運転車が、ホンダから発売されました(参考:ホンダ レジェンド)。

自動運転と聞くとコンピュータの技術に関心が向きがちですが、実は人間との関わりが一層重要になります。

今後の自動運転と共に発展していくであろう、ドライバーモニターについて解説します。

ドライバーモニターとは

ドライバーモニター(ドライバーモニタリングシステム)は、運転者の状態を自動車側で認識し、必要に応じて注意を促したり、機能を切り替えたりするシステムです。

ドライバーモニタリングシステム概念図
ドライバーモニターの概念図

上の図がシステムの概念図です。ドライバーモニターは、大別すると3つのセクションからなります。

  1. データを取得(カメラ、脈拍センサー、脳波計など)
  2. コンピュータでデータから状態を推測(眠気、よそ見、姿勢など)
  3. 必要に応じてドライバーに注意を促す(注意喚起、警告、運転操作の要求など)

1〜3は、人間に当てはめるとそれぞれ目、脳、手や声などにあたります。「モニター」の名称が示す通り、運転手の挙動を監視して、必要な時に声をかけられるように構成されています。

自動運転とドライバーモニターとの関連性

それでは、人間の挙動を監視するドライバーモニターと、自動運転はどう関連しているのでしょうか。

理解を深めるためには、自動運転のレベルと、レベル別の動作条件を知る必要があります。

自動運転のレベルと、人間の関与度合い

自動運転のレベル分けとして広く受け入れられているものが、アメリカの団体SAEが提唱したものです。

レベルは0から5まであり、以下の表のようになります。

自動運転レベルレベル0レベル1レベル2レベル3レベル4レベル5
自動化の内容警報、補助操舵またはアクセル操舵とアクセルの協調制御限定状況下での自動運転限定状況下での完全自動運転完全自動運転
人間の状態常に運転に集中常に運転に集中常に運転に集中自動運転中は自由
システム要求時は運転する
常に自由常に自由
実例衝突被害軽減ブレーキ
車線逸脱警報
レーンキープ
アダプティブクルーズコントロール
高速道路での手放し運転渋滞時の自動運転定常ルートのコミュニティ車両あらゆる経路での自動運転
自動運転のレベルと機能。SAEのHPの図をもとに作成(参照: https://www.sae.org/blog/sae-j3016-update)

それぞれのレベルは、自動化されることと、人間が必要な操作によって定義されています。

手動運転と自動運転の切り替えがある

注目すべき点は、近い将来普及が進むであろうレベル2〜3では、人間がいつでも運転を代われなければならないということです。

レベル2の自動運転は人のアクセル、ハンドル操作は不要ですが、常に前方を注視していることが求められます。

レベル3自動運転中はよそ見をしていて構いません。しかし、システムが対応できない状況になった場合は、即座に運転の主体が人間になります。

ゆえに、自動車のシステムはドライバーが運転に集中しているか、意識がはっきりしているかを常に把握していなければなりません。

レベル3までの自動運転システムには、ドライバーモニターが必須となるわけです。

ドライバーモニターの意義:事故の未然防止

ドライバーモニターは、自動運転以外にも意義があります。

それは、ドライバーの不注意による事故を減らすことです。

警察庁の統計によると、交通死亡事故のうち、「漫然運転」「脇見運転」「酒酔い運転」「過労運転」といった不注意で起きたものが28%近くを占めています。

全てのドライバーには、容易に人を殺してしまう自覚を持ち、運転に集中してほしいです。

それでも、運転不注意を検知し警告したり、場合によっては自動車を安全な場所へ停車させるシステムが普及すれば、不幸な事故は少なからず減らせるのではと思います。

現行車のシステムと今後の展望

現行車は赤外線カメラが主流

現在市販されている自動車のドライバモニターは、ハンドル奥のインパネに赤外線カメラを搭載したものが主流です。

人間の目に見えない赤外線を照射することで、周囲の光やサングラスの影響を受けにくくなります

読み取った映像から、目線、瞬きの頻度、顔の向きなどを認識します。

機械学習などの技術により、認識の精度は年々向上しているようです。

今後はシステムの普及が進み、高度化が予測される

欧州では、ドライバモニターが義務化される動きがあります。

今以上に多くの車種、グレードにドライバモニターが搭載されるでしょう。

その際のメインの技術はやはり、実績が豊富な赤外線カメラになると思われます。

一方で、情報量や精度を高めて商品性を向上させるため、カメラ以外の装置も実用化が考えられます。

例えばパイオニアは、シートやハンドルで脈拍を検知するセンサと、検出システムを開発しているそうです。

各社からどのような提案がなされるか、非常に楽しみです。

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