【CAFE規制】なぜジムニーにアイドリングストップが搭載されてしまうのか

スズキ ジムニー(JB64)

2022年6月20日、ジムニー、ジムニーシエラの仕様変更が発表されました

内容は、MT車へのアイドリングストップシステム追加です。

アイドリングストップ機能は昨年9月にAT仕様車にも追加されています

本格オフロード車であるジムニーと、アイドリングストップシステムは相性が良くないように思えます。

ネット上の反響も否定的なものが多いです。

今回は、それでもメーカーがアイドリングストップを導入せざるを得ない事情を説明します。

CAFE規制:メーカーが販売する自動車の平均燃費

CAFE(Corporate Average Fuel Efficiency: 企業別平均燃費基準)規制というものがあります。

欧州や米国でいち早く導入され、日本でも2020年から導入されました。

詳しい基準は国土交通省の資料を読んで欲しいのですが、簡単にまとめると

  • 車両重量ごとに決められた基準燃費の達成率を評価
  • 売れている車種、グレードの比重が大きくなる
  • 達成できないと罰則がある

このようなルールです。

当然、基準は年々厳しくなります。

CAFE的にジムニーは足枷となる

現行ジムニーはとても人気があり、発売以来1年近くの納車待ちが続いているのはご存知でしょう。

また、ラダーフレームを用いており、軽乗用車としては重く大きいです。

当然燃費はよろしくありません。

売れていて燃費が悪い車種ということで、スズキのCAFE的には大きく足を引っ張る存在となってしまいます。

実際、欧州ではラインナップを外され、商用車仕様で復活した経緯があります(商用車は乗用と別枠で基準がゆるめ)。

カタログ燃費を上げることで、販売を継続させたい

今回の仕様変更は、CAFE規制を念頭に置いたものだと予想されます。

アイドリングストップシステムの搭載で、ジムニーのカタログ燃費は0.4km / Lほど向上しました。

微々たるものに感じますが、平均燃費は地道に上げるしかありません

現状、スズキは軽自動車と小型車に注力しており、ほとんどの車種にマイルドハイブリッドを搭載中。

現状の技術はかなり熟成されており、伸びしろは少ないでしょう。

ストロングハイブリッドやEVも開発中と思われますが、展開に時間がかかります。

スズキが平均燃費を大幅に向上させるまでの間、ジムニーのカタログ燃費を上げることには意味があるといえます。

ジムニーよ、走り続けろ

アイドリングストップシステムは、信号待ちなどが多い場面で燃費を向上させます。

ただ、バッテリーやエンジンに負担をかけてしまう側面もあります。

ジムニーのユーザーはおそらく燃費より堅牢さを求めているでしょうから、反発するのも無理はないでしょう。

一方、企業として法規に対応し続けることは、販売継続の絶対条件。

今回の仕様変更には、「それでも、売り続けるためにやるしかない」という苦悩がにじんでいる気がします。

燃費の悪い車に吹き続ける逆風。

仕事や生活に欠かせない道具として、趣味の友として、ジムニーには今後も走り続けてもらいたいです。


スズキの100年、ジムニーの50年 (メディアパルムック)

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